おしぼりそば
長野県の東北部、千曲市から坂城町・上田市近辺を中心に、辛味大根の絞り汁に、葱、鰹節を入れ、信州味噌で味を調えた付け汁でそばを食す「おしぼりそば」というものがあります。今回は千曲市の一松亭で、この「おしぼりそば」をオーダー。
しばらくすると、お盆に乗せられた、おしぼりそばが登場。
戸隠の竹細工と思われるザルに冷たいそば、
漆風の器にはいった辛味大根の絞り汁、
小口切りの葱と信州味噌、
削り節、大根の漬物…で、1人前のセットとなっているようです。
信州味噌で塩加減を調整
白くあわだった絞り汁に、味噌少々、葱と削り節少々を入れてそばを食べてみました。辛味大根特有の辛さとほんのりした甘さは感じられるものの、塩気が足りないせいか、物足りない感じです。そこで少しずつ味噌を足していって、塩加減を調整していきます。
いろんな味覚が合わさって、おいしくなる
好みの塩加減になったら、勢いよくそばを食すだけ。大根の絞り汁の辛味と微妙な甘味(「あまもっくら」というらしいです)、信州味噌の風味、削り節の旨味、薬味の葱の風味が、そばそのもののおいしさと相まって、すっきりとした、シャープなおいしさを醸し出している……ように思いました。お酒を飲んだあとの締めなどには、ぴったりのそばかもしれませんね。
辛味大根や味噌にもいろいろある
信州の伝統野菜としての辛味大根には、産地等によっていろいろな種類があるようです。比較的有名なものとしては、坂城町の「ねずみ大根」や戸隠の「戸隠大根」があります。その他上田市の「山口大根」、長野市信更町の「灰原辛味大根」、南信には「親田辛味大根」もあります。
これらの大根はそれぞれ味の特徴がありますし、そもそも信州味噌にも多くのメーカやブランドがあります。と、考えると、食べる人によって非常にバリエーションが豊富なそばなのではないかと思う次第。
なんだかおしぼりそばって奥が深いような気がしました。
執筆/オンラインショップあんず