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しっぽくそば(善光寺寺町そば)を食べる

食べてきた

しっぽくそばとは

江戸時代、長崎の卓袱(しっぽく)料理にヒントを得て、しっぽくうどん、しっぽくそばが各地で食べられるようになりました。

基本的には、温かいかけうどんやかけそばの上に様々な具を乗せたものです。まず上方でしっぽくうどんが流行り、それが江戸にも広がり、しっぽくそばも食されるようになったとか。最初は江戸でも関西風の出汁で食べられていたようです。

その後、同じように具だくさんで関東風の出汁を使った江戸発祥の「おかめそば」が登場して人気を博し、しっぽくそばは片隅に追いやられてしまいました。上方に対する江戸の意地、みたいなものがあったのかもしれません。

長野では……

長野では、おかめそばは流行らずに、しっぽくそばがもてはやされていたようです。明治時代に、権堂町の花柳街を洒落て歩く旦那衆が、芸者を呼び、こたつにあたって軽く一杯という風に粋にしっぽくそばを楽しんだともいわれ、その後も支持されてきました。

けれど高度経済成長期を経て、日本人の食生活自体が変わってくると、しっぽくそばもしだいに埋没していってしまいました。

復活!

ところが、平成17年秋の長野市の観光キャンペーン「信州そば歳時記」で、古くて新しい「善光寺寺町そば」として、しっぽくそばを見直そうということになり、改めて脚光が当てられるようになりました。

長野以外の他地域では、しっぽくそばが衰退してしまったことも、追い風になったようです。そして、現在では長野麺類協同組合加盟店の17店で食べることができます。

そばの上に乗せる具材は4品を共通とし、その他に3品程度の具材は各店のアレンジということになっているようです。

実食

実際に長野市の山とも庵で、しっぽくそばを食べてきました。

具材は鶏肉・麩・生麩・かまぼこ・椎茸・がんもどき・ごぼう。青白のネギとゆずが彩りと香りを添えています。具材でそばが隠れて見えないほどです。どの具も丁寧に仕込んであり、よく味が染みこんでいました。

鶏肉はボリュームもあり、旨みと適度な脂がよい具合に出汁にとけ込んで、「あっさり、さっぱり」だけではないそばの魅力を引き出しているように感じました。

普段、そばといえば、冬でも冷たいそばを食べることが多いのですが、今回温かいそばの魅力を再確認できましたので、次は別の店で別のしっぽくそばを食べてみようかな、と思っています。


執筆/オンラインショップあんず