ニンニク醤油が食欲をそそる長野県名物「山賊焼」

紫花豆でポテトサラダを作ったら謎の物体が誕生した件

作ってみた

紫花豆の使い道、煮豆しかない問題

当店でも販売している紫花豆。

紫花豆

正月の煮豆需要として、毎年10月〜12月に大量にご注文をいただく反面、それ以外の時期はあまり注文が入らず、人気がありません。

どうやら紫花豆は、多くの人から「日常的に食べるものではない」と思われているみたいです。

そう思われてしまう理由としては、調理が面倒、価格が高い、入手が困難などがあるのでしょうが、

やはり一番の理由としては、使い道が煮豆しかないことだと思います。

紫花豆の甘煮

「そんなに毎日、煮豆ばっか食べられるか!」ということですね。

そんな現状を打破すべく、当店ではこれまでにもコーヒー花豆はちみつレモン煮、煮汁を使った花豆寒天ゼリーなどの煮豆の派生レシピを紹介してきたのですが……

結局煮豆じゃないか! ということで、今回は煮豆以外の紫花豆料理を作ってみたいと思います。

紫花豆のポテトサラダ

紫花豆の食感はじゃがいもにそっくり

煮豆以外の料理を作るにあたり、ヒントになるのが紫花豆の食感です。

煮豆にした時のホクホクとした食感、これ何かに似ているんです。

そう、じゃがいもです。

紫花豆の食感はじゃがいもにそっくりなんです。

というわけで今回はじゃがいも料理のド定番、ポテトサラダを紫花豆で作ってみようと思います!

作ってみる

良い豆を使って失敗するのが嫌なので、売り物にならなかったSサイズの紫花豆を使います。(2年前の豆なので色が抜けて赤色になっています)

何回かゆでこぼして、アクを取りました。これに砂糖を加えて煮込んでいくと甘煮になるのですが、今回はここから別の工程へと進みます。

ポテトサラダの作り方に倣い、紫花豆をマッシュして(潰して)いきます。

じゃがいも同様、紫花豆も冷えると固くなってしまうので、ゆでたてを急いで潰します。

うーん……とにかく見た目が悪い。

紫花豆の中身は真っ白なのですが、潰すことで皮の色と混ざり、あずきバーのような色合いに。

小さい豆だと柔らかい部分が少ないので、もともと固い紫花豆の皮がさらに固く感じ、めちゃくちゃ潰しにくかったです。紫花豆を潰して料理に使う場合は大きめの豆を使った方が良さそうですね。

ここにマヨネーズ、塩コショウを加えてよく混ぜます。

具材を用意するのを忘れていたので、具材はなし。紫花豆オンリーのポテトサラダです。

ものの数分で完成!

なんだこれは……

これのどこがポテトサラダなんだ……?

食べてみた感想

おそるおそる食べてみたところ……

!? 普通にうまい!

味はまんまポテトサラダですね。目隠しして食べさせられたら、ポテトサラダとしか思えないです。

ちょっとマヨネーズを入れすぎたせいもあり、水気が多くなってしまいましたが、それでも普通に美味しいです。味はほぼ文句なしと言って良いでしょう。

見た目以外で唯一気になる点と言えば、皮の食感ですね。

皮もできるだけ細かくなるように潰したつもりですが、やはり完全には潰しきれず、ところどころゴワゴワとした食感が残ってしまいました。

皮を剥いてから中身だけで作るという手もありますが、それだと皮がもったいないです。皮にも栄養がたくさんありますからね。

この問題を解決するには紫花豆ではなく、白花豆を使えばいいんでしょうね。白花豆の方が皮が柔らかく、色も白一色なので、食感の改善に加え、見た目も良くなるはずです。

白花豆は料理に使いやすいことで知られている

ただ白花豆の方が珍しいので、手に入れにくいというデメリットがありますが……(当店でも以前は販売していましたが、徐々に入手困難になり、やむなく終売となりました)

今回は紫花豆オンリーのポテトサラダになりましたが、ここに他の具材が入ってくれば、見た目の悪さや皮の食感も気にならなくなるはずです。

定番のきゅうりや玉ねぎ、にんじんやハムもいいですが、枝豆やグリーンピースなどを入れて豆づくしのサラダにするのもアリですね。

紫花豆と色の似ている小豆を入れてみるのも面白いかもしれません。

「紫花豆のポテトサラダ」
改善点は多く見つかったものの、見た目からは想像もできないほどまともな美味しさでした!

紫花豆vsじゃがいも

紫花豆はじゃがいもに勝てない?

紫花豆で作ったポテトサラダは普通に美味しかった──。

しかし、ここでひとつある問題が発生する。

「わざわざ紫花豆を使う必要なくない?」

そう、紫花豆がじゃがいもの代わりになるからといって、わざわざ紫花豆を使う理由がないのである。

まず前述した通り、紫花豆は入手が困難だ。標高800m以上の土地でなければ実がつかないという厳しい栽培条件から、栽培している地域はごくわずか。

栽培地域であれば直売所などで購入することもできるが、オフシーズン(2〜9月)になるとそれも厳しく、年々花豆農家が減少していることもあって、入手には通販を使わざるを得ないのが実情である。

どこのスーパーでも売られているじゃがいもとは大違いだ。

そして、紫花豆の価格の高さについても触れておかねばならない。

販売価格は直売所や販売者によって違うので、具体的な価格を提示するのは控えるが、紫花豆は同じ豆類である鞍掛豆の2倍〜3倍の価格で直売所で売られているのだ。

同じ豆類なのに紫花豆より安い鞍掛豆

なぜ紫花豆はこんなにも高いのか? ここだけの話、昔は今よりも紫花豆は安かったのだ。5年ほど前までは今の3分の2ほどの価格で売られていた。

しかし、たびたびテレビで特集が組まれたり、花豆農家さんが減少したりして、需要と供給のバランスが崩れた結果、徐々に価格が上がっていき、いつの間にか高級食材というイメージが定着してしまったのである。

価格については紫花豆の完敗である。じゃがいもとは比べるまでもないだろう。

最後に紫花豆の最大の欠点とも言うべき調理に時間がかかる点。

今回のポテトサラダ作りに限らず、紫花豆の調理にはとにかく時間と手間がかかるのである。

まず吸水させて紫花豆を元に戻すのにだいたい2日かかる。

これだけでも他の食材に比べてかなり時間がかかっているのに、ここからさらにアクを取るためのゆでこぼしの作業が必要なのだ。(紫花豆はアクが多いため、一度ゆでただけではエグみが残る)

じゃがいもだと、ゆでずに電子レンジを使う時短ワザなどもあるが、紫花豆はアクの多さゆえ、ゆでこぼしは必須。当店でも試行錯誤を重ねてみたが、時短は不可能だという結論に至った。

紫花豆は料理に使おうと思ったその日に使うことができない食材なのである。

栄養価を重視するなら紫花豆

入手が困難、価格が高い、調理に時間がかかる……これだけデメリットがそろってくると、いよいよ紫花豆を使う理由がなくなりそうだが、

一点だけ、紫花豆がじゃがいもに勝てる点を見つけることができた。

それはズバリ「栄養価」である。

突然だが、白い炭水化物が健康に悪いという話を知っているだろうか?

白い炭水化物は血糖値を上げ、脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化を引き起こすリスクを高めることで知られている。

要するに精白された白米や白いパンは健康に悪く、玄米や全粒粉パンなどの茶色い炭水化物は健康にいいのだ。

そして、何を隠そうじゃがいもは白い炭水化物だ。

「じゃがいもって野菜じゃないの?」と思うかもしれないが、実はじゃがいもは栄養素的には野菜よりも炭水化物寄りだ。

炭水化物と聞くと、ご飯やパンなどの主食っぽいイメージがあるが、実際にアイルランドなど、じゃがいもが主食の国もある。

フライドポテトを想像してもらうと分かりやすいだろう。もしじゃがいもがキャベツのように、野菜的な栄養素を持っているとしたら、フライドポテトに健康に悪いイメージはつかないはずだ。

野菜は食べれば食べただけ健康になる。そんなイメージがあるが、逆に炭水化物は摂りすぎると健康被害を招く。

「じゃがいもを野菜だと思って食べてはいけない」のである。

じゃがいもを食べる=危険。とまでは言わないが、じゃがいもを含む白い炭水化物を日常的に摂取しすぎると、健康に害を及ぼすということは科学的に証明されているのだ。

その点、紫花豆は健康食材として何度かテレビで特集が組まれたこともあり、某番組では「肥満と老化を防ぐ長寿の里のお豆」「現代人に不足しがちな栄養素を合理的にとれる理想的な食材」として紹介された。

↓紫花豆の栄養についてより詳しく知りたい方はこちらの記事へ。

紫花豆の魅力は派手な見た目や大きさだけではない。栄養価の高さこそ、紫花豆の最大の魅力と言えるだろう。(ただし一度に食べすぎるとお腹がゆるくなる点には注意)

手に入れやすさや調理のしやすさ、潰して使った時の見た目の良さではじゃがいもに分があるが、栄養価や健康の観点から見ると、紫花豆に軍配が上がる。

毎回とは言わないが、たまにはじゃがいもではなく、紫花豆を使ってみるのもアリなのではないだろうか。

じゃがいも(白い炭水化物)の健康への影響については諸説あります。

まとめ

やはり紫花豆の食感はじゃがいもだった! 見た目や手間を気にしなければ、紫花豆の方が健康にいい!

紫花豆を甘煮でしか食べたことがないという方は、ぜひ潰して食べる紫花豆料理をお試しあれ。

じゃがいもを使う料理(コロッケや肉じゃが、カレーなど)で、じゃがいもの代わりに紫花豆を使うの、アリだと思います!


執筆/オンラインショップあんず