花豆のレシピ
花豆の戻し方|浸水時間はどのくらい?
花豆の浸水時間について
花豆を戻すにはかなりの時間が必要です。他の豆類が一晩(6〜8時間)水に浸けるだけで戻るのに対し、
花豆は最低でも丸1日(24時間)以上、豆の乾燥状態によっては2日〜3日かかると言われています。
……ところが!
近所の直売所でこんなものを見つけました↓
「花豆をおいしく煮るには冬場は5日〜7日、朝晩毎日水を換えて豆がパンパンになるまでひたして下さい」
冬場は5日〜7日!?
"冬場は"と言っても、そもそも花豆が市場に出回るのが10月下旬〜3月頃まで。
お正月のおせち料理に使われる方も多いので、花豆を浸水させるのはほとんど冬場になるはずです。
浸水に5日〜7日、それはいくらなんでも長すぎるのでは?
いざ浸水実験!
実際にどのくらいの時間がかかるのか、今シーズンの新豆で実験してみることに!
吸水していく過程がはっきりとわかるように、表面が凸凹とした歪な花豆を使います。
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水を吸って一気にサイズアップ。表面の凸凹はまだ残っていますが、歪さがなくなって豆らしい形になりました。
花豆は皮→実の順に吸水が進みます。そのためこの段階では、皮が膨らんで見た目こそ大きくなったものの、中の実はまだ吸水が進んでおらず、皮と実の間に隙間がある状態です。
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吸水が進み、1mm大きくなりました。写真では分かりにくいですが、中の実が膨らみ、豆に厚みが出てきました。
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さらに吸水が進み、1mm大きくなりました。凸凹がなくなり、豆の表面がなめらかに。中の実も十分に吸水し、皮と実の隙間がなくなっています。
また、一番最初に水に浸けた時は浮いていた花豆が、3日後には水に沈むようになりました。
花豆は豆の大きさに対してとても軽いため、ほとんどの豆が水に浮きます。(しっかりと乾燥している豆ほど浮きやすい)吸水が進むにつれて徐々に豆が重くなり、沈んでいきます。
この後も4日、5日と花豆を浸けたままにしておきましたが、これ以上の変化は見られなかったです。
というわけで花豆の浸水にかかったのは3日間でした!
新豆なので1日もあれば戻るだろうと思っていたのですが、思っていたよりも時間がかかりました。
ストーブの近くに置いていたので、乾燥が進んでいたのかもしれません。
売り物にならない歪な花豆を使ったのですが、綺麗な形に戻ったのでびっくりしました。これなら売り物になるじゃん。当店としては、今後もできる限り歪な花豆は取り除かせていただきますが、歪な花豆も水に漬ければ綺麗な形に戻るというのは覚えておくと、捨てずに済みますね。
結局、浸水にかかる時間は?
今回の実験では浸水に3日かかりました。
しかし、ここまで読んでくださった方はお気づきかと思いますが、残念ながらこの実験結果は何の参考にもなりません。
なぜなら、当店でもこれまでに何十回と花豆を戻していますが、毎回浸水にかかる時間が違うからです。
新豆は短く、古い豆は長くという通説はあるものの、今回のように新豆であっても3日かかることもあります。
花豆に必要な浸水時間は豆の乾燥状態、気温や水温など、さまざまな要因によって変わるのです。
ではどうすればいいのか?
それは……
できるだけ長く浸けること!
十分に吸水させないまま煮てしまうと、豆が固くなるデメリットがありますが、吸水しすぎるデメリットはありません。
1週間以上など、極端に長く浸けすぎるのはもちろんNGです。
なので、とりあえずどんな状態の花豆だろうとまずは最低2日間(48時間)は浸けてみる!
その後は、豆の状態を見ながら臨機応変に対応するというのがいいのではないかと思います。
花豆の吸水が終わった目安になりそうなポイントは以下のとおりです。
・豆が水に沈んだ。
・表面のシワが伸びきった。
・豆がパンパンにふくらんでいる。
極端な例として、カラカラに乾燥した3年前の花豆を浸水させたことがあるのですが、その際は丸4日かかりました。なので、どんな状態の花豆だろうと丸4日漬ければまず間違いないと思います。
その他、花豆を浸水させる際のポイントとしては以下。
・浸ける前に豆を軽く洗って汚れを取る。
・吸水にムラが出ないよう水はたっぷりと使う。
・こまめに水を換える。(1日2回ぐらい)
・夏場は涼しいところに置く。
これらのことに気をつけていただければバッチリだと思います!
レシピ本などで「花豆は一晩水に浸けるだけで戻る」と紹介しているのをよく目にしますが、北海道産や中国産の極端に小さい花豆や収穫直後の花豆などのケースを除き、花豆が一晩で戻ることはありません。注意しましょう。
※直売所に貼られていた紙について
花豆を吸水不足のまま煮て失敗する方がいないように、「冬場は5日〜7日ひたして下さい」と少し大げさに注意喚起しているのだと思われます。試しにこちらの花豆を買って浸水させてみましたが、2日で戻りました。
花豆を短時間で戻す方法は?
吸水に時間がかかるのは分かったけれど、そんなに待てない。浸水せずに早く花豆を戻す方法はないのか?
他の豆類であれば「ゆでた後蒸らす」「炊飯器や魔法瓶を使う」といった方法があるのですが、花豆で試してみたところ、どちらもうまくいきませんでした。
「ゆでた後蒸らす」は、他の豆だとかなりの時短になるのですが、花豆だと1時間近くゆでる必要があるのでオススメできません。
「炊飯器や魔法瓶を使う」は、花豆から出たアクが再び花豆に染み込んでしまい、その後で何度かゆでこぼしても、アクが取れずにえぐみの残る味になってしまいました。
花豆を早く戻す方法は当店の方でも模索中です。今のところは、時間がかかったとしても普通に戻すのがいいという結論にいたっています。何かいい方法を見つけたら紹介させていただきます。
まとめ
必要な浸水時間は花豆の状態によって変わる。できるだけ長く漬けよう!
花豆は他の豆類よりも扱いが難しく、栽培・浸水・調理、どれをとっても一筋縄ではいきません。
しかし、その栄養価の高さ、他の豆にはない独特の風味やごろっとした大きさはなによりの魅力だと思います。
今回は花豆の戻し方について紹介しました。微力ではありますが参考にしていただき、おいしく花豆を味わっていただければ幸いです。
当店では長野県産の花豆を販売しております。興味のある方はぜひ一度ご覧ください。